高知県自閉症協会

NPO法人 高知県自閉症協会(日本自閉症協会高知県支部)
全体活動報告
20年度活動報告
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●明石洋子さんの講演会、盛況のうちに終了!

6月8日に高知大教育学部にて明石洋子さんの講演会が行われました。会場には会員・非会員併せて140名の参加者があり、みなさん熱心に講演を聞いておられました。
 まだ自閉症の原因が母親の子育てのせいであると言われていた時代に、地域への理解を求めて回っていた明石さんの前向きさは、自閉症協会のガイドブック(乳幼児編)にも記載されていますし、漫画「光とともに」のエピソードにも採用されているので御存知の方も多いと思われます。障害に対し一定の理解がある現代と異なり、実際のその過程では大変な思いをされてきたことでしょうが、それを感じさせない明るく前向きな内容でした。
参加者の方からは
「行動障害が起きるのは自閉症だからなのではない、決して子ども自身に問題があるのではないということが、よくわかりました。支援と勝手に思っている押し付けを、周囲がやればできるはずなのに、どうしてやらないんだろう、どうしてできないんだろう、と繰り返すうちにそうなってしまうということですよね。そうならないように気をつけなければと思いました。」
「自閉症の子を育てていると、子どもの障害にというより、周りの障害に嫌になってしまって・・学校の先生への要望はなかなか通らないし、地域からは白い目で見られるしで、あまりの周囲の理解のなさにもうあきらめようと思ったりしますけど、でも、明石さんを見習ってあきらめず理解を求めていかなければならないなあと思いました。」といったご意見がありました。講演会会場にいらっしゃったたくさんの方が、明石さんに共感し、勇気づけられたようです。
子育て(支援)も活動も見習うべきところがたくさんあり、とても充実した講演会となりました。
講演会の模様は、翌日6月9日の高知新聞朝刊にも掲載されております。


●20年度夏季療育キャンプ開催!

8月16日・17日(土・日)の二日間、夏季療育キャンプを室戸青少年自然の家で行いました。
今年度もライオンズクラブ13クラブより、合わせて24万円のご寄付をいただきました。ライオンズクラブ様からは遠方まではるばるお越しいただき、キャンプ冒頭の開会式の中で贈呈式を行いました。いただき
ましたご寄付はキャンプをはじめとする子ども達のための活動に、ありがたく使わせていただきます。
今年度のキャンプ参加家族は14家族、ボランティアさんは高知リハビリテーション学院の学生さんほか、高知大や一般から21名、そのほかに高知県の障害保健福祉課や療育センター発達支援部からの講師の先生も合わせて総勢72名の参加者がありました。1日目の活動は地元の室戸市立元小学校のプールをお借りし、プールをしました。またプールが嫌な子どもさんは室戸岬方面へのドライブをしました。その間保護者は高知女子大学の田中きよむ先生による障害者自立支援法と成年後見に関する勉強会を行いました。また、夜はボランティアミーティングを行い、ボランティアさんの活動の中での対応について振り返りをしていただき、今後のボランティア活動に役立てていただくようにお願いしました。一方保護者はその後恒例の懇親会で、お酒を囲んで、日ごろの悩みを話したり、普段中々会えない方どうし交流を深めていただきました。
2日目は青少年自然の家の体育館で音楽療法を楽しみました。


●サマースクールを行いました

学齢期の障害のあるお子さんを対象に、長期休暇中の日中活動の場を提供するため、サマースクールを開催。集団活動が苦手な子どもたちなので、子どものペースに合わせて活動をし、決して無理なことはさせず楽しく過ごせる時間と居場所を作ることが目的として行いました。
今年度は作業所もえぎの利用者人数が増えたため、サマースクールの場が確保できず、いろいろ開催場所を当たっておりましたが、高知市立一ツ橋小学校の特別支援学級に通うお母さん方が学校と掛け合ってくださって、学校側からも快諾いただき、今年度のサマースクールが実現しました。
期間は8月5日(火)〜8日(金)、18日(月)〜22日(金)、25日(月)〜29日(金)までの3期に渡って14日間実施しました。
毎日の活動スケジュールは子どもさんを預けたいと言われる保護者の方々からアンケートをとり、できるだけそれぞれの子どもさんが無理をせず行えるような形にしました。また、利用される方には子どもさんのサポートブック(子どもさんの状態を詳しく記した携帯用ブック)を作っていただき、ボランティアさんに情報を確実に伝えて、初めて会った子どもさんとボランティアさんがお互い安心して過ごせるように準備をしました。
毎日の活動の初めは9時にボランティアさんが集合。その日の活動についてや受け入れる子どもさんの情報についてのミーティングを行います。9時15分過ぎごろから子どもさんが来始めますので、子どもさんとボランティアさんの顔合わせ。連絡帳に出席シールを貼って荷物を置いたら、その日のスケジュールを子どもさんとボランティアさん(もしくは保護者)と一緒に確認します。
9時半からは朝の会。ここで出席をとり、みんなで今日のスケジュールを確認し、朝の会を終わります。
朝の会が終わったら、まずは勉強タイムです。家庭から持ってきた夏休みの宿題やそれぞれの子どもさんに会った手作り教材、またはこちらが用意した教材(これも各会員さんのご家庭や学校で使っているものを提供していただいたりして補っています)を使って勉強をします。
 勉強が終わったら、水着に着替えてプールへ。プールが大好きな子ども達は、暑い日ざしの中、元気に毎日泳ぎました。この14日間で真っ黒に日焼けした子どもさんもいます。プールが嫌いな子どもさんはお部屋でゆったり過ごしたり、図書室で静かに過ごしたりしました。
また、雨の日には、体育館もお借りすることができ、その中で音楽
療法をして楽しみました。
 午後はメイン活動に創作活動を取り入れ、フィンガーペイントや小麦粉粘土、プラ板作りや野菜スタンプ、ホットケーキ作りなどを日替わりでしました。これも参加できない子どもさんは図書室に行ったり、散歩に行ったりと、決して無理はさせないように心がけています。どんな活動に興味があるのか、どういう風に過ごしたいか、聴覚過敏があるかないか、たくさんの人がいると不安定になるか、など、子どもさんの特性によって過ごしやすい場所がそれぞれ違います。これらを子どもさんに負担をかけず個別に対応するには、マンツーマンのボランティアさんや、それぞれの場所に協会のスタッフが配置できるかなどの問題があり、人手が必要です。
今回は会員さんの保護者ボランティアや一般のボランティアさんなど、たくさんの方のご協力があり、子ども達が安心してゆったり過ごせる場所がご提供できました。また、メインでお借りした建物は一ツ橋小学校の児童クラブが使っていた建物で今は使われていないものを今回特別なお計らいでお借りさせていただきましたが、そのほかに体育館や図書室まで開放してくださった学校には大変感謝しております。

●メジボフ教授講演会のご報告

平成20年10月31日に、ノースカロライナ大学からメジボフ教授を迎え、高知大学主催・高知県・高知県自閉症協会共催で講演会を行いました。
高知大学では発達障害研究プロジェクトが立ち上がったところであり、その記念講演として開催されましたが、準備については高知大発達障害研究プロジェクトの講師と療育福祉センター発達支援部職員、高知県自閉症協会の保護者らの実行委員会で動いて準備を行いました。講演会当日は高知県内外より1000人以上の参加者があり、自閉症についての理解が広まったことを実感しました。

●中央西福祉保健所と連携した地域座談会

下半期より高知県中央西福祉保健所とタイアップし、地域の年少の子どもさんを持つ保護者の障害受容を促し、日々の生活の困りごとの相談を行うのための座談会を共催で行いました。高知市とその周辺の市町村に会員の9割が集中し、これまでは座談会も高知市中心で行っておりましたが、高知県は横長の県であるため、中山間部の方ではこういった機会がなかなか持てませんでした。今回圏域の福祉保健所から地域の保健センターを通じて、複数の市町村に渡って広域で声かけをしていただいたため、座談会を行うにはちょうどよいくらいの人数が集まり、内容も濃いものになりました。
高知県自閉症協会の役員も数名参加し、他の参加者の話をじっくり聞きながら、なおかつ自分たちの具体的体験を話すことで、「一人で悩んでいたが、他にも同じ経験をし乗り越えてきた人がいることがわかり、元気づけられた」といった感想が寄せられました。21年度も引き続き、他の圏域の福祉保健所や高知市以外の市町村とのタイアップの話もあるので、高知県自閉症協会からも積極的にいろんな地域での座談会開催の段取りをしていきます。

●「自閉症と行動障害について」の保護者研修会

11月30日に高知市東部健康福祉センターにて「保護者研修会」が行われました。高知県立療育福祉センター発達支援部 発達支援チーフ 田村謙二先生をお招きして、「自閉症と行動障害」についてのお話を伺いました。
 研修会に参加していた会員・非会員ともに熱心に行動障害についての基礎知識、要因、捉え方、問題解決の計画・評価、支援のポイントなどを学びました。
 「自閉症を持つ人の行動障害は、自閉症の障害特性を周囲がきちんと理解できていないために引き起こされ悪化すること。障害に起因する苦手なこと、できないこと、不快に感じる部分を周囲が配慮していないことから起こること。従って、自閉症を持つ人と関わる人達が、本人が生活するうえで何に困っていて、何がストレスになっていて、何を必要としているかなどを理解していることが大変重要であること。」などの基本的な行動障害の問題点を具体的な体験談を交えながら話していただきました。
 また、一人ひとりの特性を正しく理解し、その人に合った個別の支援・援助を考えていくことが大切であることもお話していただきました。「一人ひとりに合ったアプローチが周囲の共通理解として認識され、誰が支援しても本人の意思を尊重でき、安心できる環境を整えることで本人の生活を安定することができ、誤った働きかけが引き起こす行動障害を軽減することができる。」ということであり、いかに本人の生活に関わる人たちの連携・情報交換が必要かを考えさせられました。
 研修会には、保育所に通う子どもから成人までの保護者、福祉関係者、学生が参加していました。
それぞれが研修を通して、自閉症の人たち一人一人のアプローチを考える上での本当に大切なこと、一人ひとりを知るということを再認識しました。

●『自閉症と薬』についての保護者研修会

平成21年1月17日に高知市西部健康福祉センターにて第2回目の保護者研修会『自閉症と薬』
について高知県立療育福祉センター副センター長 畠中雄平先生にお話いただきました。
自閉症については、当然のことながら根本的な治療をする薬というものはないが、問題行動とそれに対する周囲の反応の悪循環がある場合や生活リズムの調整が必要な場合、二次障害としての精神症状が想定される場合、てんかん発作がある場合など、主として本人が困っているときに使用するものであること、サプリメントや食事療法や数年前に話題になった水銀排出療法などは医学的根拠がないばかりか、副作用により本人の健康状態に悪影響があることなどをお話いただき、精神科薬物療法について薬の種類とその作用について詳しくお話いただきました。会場にいらっしゃった方々には、保護者や学校の先生をはじめ、施設関係者の方々もたくさん参加されており、質疑応答でも、普段の日常生活における薬についてのいろんな質問があり、参加された方々みなさん熱心に聴いておられました。

●20年度ボランティア養成講座が終了しました

「自閉症の基礎講座」「自閉症体験とサポートブックの活用法」「各年代の保護者の話」の計3回の講義と実践を含めて1期とし、1年間に3期の養成講座を行い、20年度は28人の方が受講してくださいました。受講者には福祉や保育や言語リハビリの学生さんをはじめ、一般の社会人や放課後児童クラブの指導員をされている方、施設職員の方などもいらっしゃいました。
毎回の講義の後にはレポートを提出していただき、また1〜4回の実践をしていただくため、受講生の方々は、お仕事や学校のあるお忙しい中、大変なご苦労だったと思います。
現在、実践まで終えた修了生が14名になり、高知県自閉症協会主催のセミナーでの託児や、スポーツレクリエーションなどで活動してくれています。
養成講座のスタッフは、発達支援部の先生にアドバイザーを依頼して参加していただいているものの、保護者中心のスタッフのため、いたらないことが数多くあったとは思いますが、受講生のどんな小さな疑問にも答えていくという姿勢で、やってきました。
養成講座を受講される以前にキャンプなどでボランティアをしていただいた事がある方もいらっしゃいましたが、講座を修了された方々は明らかに修了前とは対応そのものが異なり、正しい自閉症についての理解が確実に広がっていることを実感しています。
21年度は、20年度の活動内容を検討して、よりよい講座にしていきたいと思っております。
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