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とんぼ院長の目
9月です。夏の終わりというのに一段と暑くなっています。熱中症にお気を付けください。
新形コロナウイルス感染の方が多いです。喉の痛みは強いです。熱の高い方もおいでますが、それ以外は症状は軽いようです。
ただあいかわらず消炎鎮痛剤(熱さまし、痛み止め)を多く飲み直りが悪かったり、悪化する方がおいでます。先日解熱剤を飲み続けて新形コロナウイルスによる肺炎になった方がおいでました。今は普通の免疫力を持っている方で肺炎になるかたは皆無なので、消炎鎮痛剤が悪さをしたのでしょう。なぜかそういうかたはほとんど男性です。男性は苦痛に弱いのか、仕事などが忙しく熱さましでがんばるのかはわかりませんが、基本的にしんどくなければ熱はさげないほうがいいです。寒気があればむしろ熱はあげたほうがいいです。寒気があるなら、布団にくるまって熱いものを飲むとか、ひどい時は風呂に入ると楽になります。
新形コロナウイルスやインフルエンザのような強い感染症では消炎鎮痛剤はよくないです。マイルドなカロナールのようなアセトアミノフェンが無難です。寒気があり熱がしんどければ熱風邪の薬で楽になります。体温は上がりますがその後で汗が出て熱は下がります。体温を上げて早く治すのです。寒気がぜんぜんない時は別の薬です。喉が痛ければ喉風邪の薬ですが、あまりに痛みが強い時は好ましくないですがステロイドホルモンが必要になることもあります。
時々漢方薬でない薬がいいと言われる患者さんがおいでます。西洋薬で風邪の直りが良くなる薬はなさそうです。総合感冒薬(俗にいう風邪薬)というのを市販されていますが、消炎鎮痛剤に咳止め、抗ヒスタミン薬、痰切りなどが入っています。消炎鎮痛剤が入っているので一時的に症状は軽くなるが、かぜの直りは悪くなります。西洋薬で治療したら治った後がしんどいのはそのためでしょう。漢方薬で風邪のなおりが早くなるかですが、以前香蘇散という虚証用の薬を証を無視して使い西洋薬と比較したのを見たことがありますが、西洋薬より治りは早かったです。
風邪の時はよほど暑くてたまらない時以外は体は温めましょう。スペイン風邪の時たくさんの方が亡くなったのは、その時ゴム製の氷枕ができて普及したのも一因という説もあるようです。学生時代アメリカ留学された先生から、子供が風邪をひいて熱が出た時、氷水に子供を浸けて冷たいセブンアップ(清涼飲料)を飲ますようにと言われたと聞いて絶句したのを思い出しました。なんという乱暴なことを!西洋人は丈夫というか鈍感というか。暖かして冷たい飲食物を避け、水分を摂り、安静にすることです。特に高齢者は冷やさないことです。(9月1日)
10月です。お彼岸後急に涼し日が見られるようになり気持ちがいいです。
昨日から中国は国慶節の休日のためか迷惑メールが急増しています。平日はかの国の迷惑メーラーたちも忙いのでしょうか(笑)?
あいかわらず新形コロナウイルス感染の方が多いです。天皇家の愛子様もかかられたとのことです。私どもとは違い十分気をつけられているはずですがそれでもかかられたというのは軽い風邪になったため無症状の方が多くおいでになりそのため防ぎきれなくなっているのだろうと想像します。本当に調べてみないとわかりません。
急性期には麻黄剤を症状の強さに応じて使います。麻黄剤は少し良くなったら柴胡剤に切り替える必要があります。そのため麻黄剤は2日位出すことが多いのです。高熱なら2時間ごと位に服用することもあるため1日分になります。その位で高熱は解熱してもらわないと困ります。2日たっての症状を診て薬を出さないといけないのです。2日では良くならないかもしれないのでもっと長く出してほしいと言われる方も多いです。当てずっぽで2日後の症状を考えて次の処方を出すこともありますが、当たるかどうかわかりません。風邪などで自分たちで薬を飲む時は数時間ごとに薬を変更するのはしょっちゅうです。それでほとんど皆良くなってきています。新形コロナウイルス感染用の薬を出すことはごく稀で、乞われて2−3回出したのみです。
良くならない時は肺炎の合併や別の病気だった可能性を探る必要があります。よくあるのは腎盂腎炎などです。
新形コロナウイルス感染以外ではアデノウイルスを思わせる咽頭炎から咳になる風邪、溶連菌を思わせる扁桃腺炎の風邪、鼻風邪、感染性胃腸炎(いわゆるお腹の風邪)など色々な風邪が見られます。夏から秋になってきて風邪の種類の変化が早くなってきています。都会ではインフルエンザが増えてきているようですが、当院ではまだ1例も見ていません。
インフルエンザ予防接種は15日からです。一般3,000円、65歳以上1,100円、13歳未満1回目3,000円、2回目2,500円です。予約不要です。(10月4日)
11月です。やっと例年の気候になった感じです。
先日本を読んでいたら製品化された漢方製剤(エキス剤)の通常使用量の7.5gは少なすぎではないか。10-15g位必要だろうとの記載がありました。単剤を頓服として使っての有効性がその根拠とのことです。以前より言われていることですが実際使っていてもそんな感じがします。エキス剤より煎じ薬の方が効くのもそのためです。江戸時代まで輸入される原料の生薬は貴重なためできるだけ少なく効果のある最低量で処方が決まったためだそうです。
保険診療で決まっているため勝手に使用量を増やすわけにはいかず色々工夫が必要になります。いくつか薬を併用したり、何日分かを処方して多めに飲んでいただくこともあります。
風邪を筆頭にした有効な抗ウイルス剤がない急性熱性ウイルス感染症は漢方薬の独壇場です。最初寒気がして熱の上がり始めに一発で治す必要があります。おかしいと思ったらすぐ速やかに麻黄の入った麻黄剤を飲むと体がほかほか暖かくなり楽になってきます。体温は上がりますがその後速やかに下がってすっきりと治ってきます。強い順に大青竜湯、麻黄湯、葛根湯、小青竜湯、麻黄が使えないほど弱ったかたには桂枝湯です。使う時は汗が出るまで2-3時間毎に飲み、汗が十分出たら直りを早くするような薬に変更し、残った症状に応じて治療していきます。
寒気がする時はできるだけ暖かくして熱い飲み物やうどん等を摂って体を温めることです。ブルブル体が震えるくらい寒いなら風呂に入ってもいいです。くれぐれも冷やさないことです。都会では葛根湯が有効でないとのことですが伊野ではよく効くので皆さん体力があるのでしょう。
暑いばかりで寒気が全くない場合は麻黄剤でなく熱を冷ます銀チョウ散などが必要です。
インフルエンザワクチン接種が始まり混みあっていて待ち時間が長くなっていますがご容赦ください。今のところ新形コロナウイルスワクチンを接種される方は少ないです。
12月は27日午前で終了です。年末にかかる方はご注意ください。(11月1日)
12月になりました。インフルエンザが流行ってきています。ほとんどA型ですが少数B型のかたもおいでます。喉や鼻水から咳になる風邪、たまに溶連菌感染のかたもおいでます。風邪の予防は体を冷やさないことが大切です。お気をつけください。
今月から飲み薬の禁煙治療薬が久しぶりに使えることになりました。飲み薬は最初の1週間はタバコを吸いながら治療できるのと、薬を飲むとタバコがおいしくなくなるので楽に禁煙できます。今までは貼り薬しか使えませんでした。。最終的な禁煙率はあまり差はないそうですだ、楽に禁煙できるほうが患者さんにとってはいいことだと思います。
ただ気を失ったかたがおられたため危険な作業に従事することができません。一番問題になるのは車を運転することができないということです。都会なら問題にならないのですが高知では困ります。治療中自転車にしたかたもおいでました。健康になるのでいいかもしれませんが(笑)。
タバコは日常的に接する物質のなかで最大の発がん物質で多くのガンが増えます。肺を傷害し、動脈硬化も早くなり、老化を促進します。周りの方は受動喫煙の被害に会い健康をそこねます。いいことは何もないです。ぜひタバコを吸っている方は禁煙することをお考えください。
また今月から4種類目のオレキシン受容体拮抗剤の睡眠剤が発売になりました。従来のベンゾジアゼピン系(いわゆる精神安定剤)の睡眠剤は効果が高く安いのですが、依存性が強く、耐性ができて続けて服用すると効きが悪くなってきます。ふらつきによる転倒が多くなり、認知機能を悪化させて認知症が増えてしまうとも言われています。今はオレキシン受容体拮抗薬を服用している方が多数となってきました。新しい薬ほど作用時間が短くなってきています。翌朝に薬の作用が残って眠いということや頭が重いということが少なくなっていると思われます。ただあまりに短いと夜中に目覚めてしまい寝られなくなる方もあるでしょう。その方に合った薬を探す必要があります。悪夢の副作用が記載されていますが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べて効果が弱いのと健忘症が少ないので見た夢を覚えているためでしょう。そもそも見るゆめの7‐8割は悪夢だそうです。夢を見ることで嫌なことを忘れようとしているそうです。
ベンゾジアゼピン系薬剤を飲まれている方は止めにくいです。いろんな手を使って減薬して中止しようと試みますが、なかなか難しく中止するのに時間がかかります。(12月1日)
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