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とんぼ院長の目
6月です。暑くなり嫌な夏が近づいてきています。皆様お変わりありませんか。
私は先週4-5年ぶりに発熱しました。診察を始めたら首がつかえてきて少し寒気がしました。風邪をひいたかと思い葛根湯を飲みました。37.1度。だんだん寒気がひどくなり右手がしびれてきたため慌てて麻黄湯を飲みました。30分ほどで寒気は軽くなってきましたがだるいのは変わらず、熱は39.8度。どうしようかと考えました。大青竜湯がいいのですが、これを飲むと私は尿が出にくくなります。もし尿が全く出なくなったたら(尿閉)診察を止めないといけなくなります。そこで麻黄湯を2時間毎に飲むことにしました。5回飲んで38.7度、なかなか下がらず汗もほんの少し出るだけです。そこで帰宅してから体を温めて汗をだすために風呂に入りました。すると汗がでてきて楽になってきたので麻杏甘石湯と桂枝湯に変更して床につきました。1時30分に起きた時少し楽でしたが吐き気がありほとんど食べられず38.1度。もう一度麻杏甘石湯と桂枝湯を飲み寝ました。5時に起きた時はすっきりして吐き気はなく朝食を摂り37.8度。もう一度麻杏甘石湯と桂枝湯を飲みクリニックに来たら37.5度。しんどさは取れてきて気分は良くなりました。その後微熱に小柴胡湯2回、首の凝りに葛根湯1回、頭痛に川きゅう茶調散2回飲み、夕方にはすっかり良くなり、翌日は普段通り自転車で80km走ってきました(さすがにいつもよりは疲れましたが)。
こんなに早くすっきり治るのは漢方薬ならではです。有効な治療薬の無いウイルス感染の治療は漢方薬の独壇場です。西洋薬は消炎鎮痛剤のせいか治るのが遅く、治った後がしんどいです。ただ漢方薬は症状にきちんと当てないと効きませんがこれがむつかしい(笑)。たまに逆に悪くすることがあります。例えば汗を出させすぎてしんどくなる、こんな時の処方もちゃんとあるので昔から治し損ねて慌てるということはしょっちゅうあったのでしょう(笑)。
今回の私の経過は典型的でしたが、中には汗が出て喉が渇き水分を摂るが体が焼けて暑く高熱が続くことがあります。熱症、傷寒論では陽明病という状態です。こうなると熱を冷ます白虎加人参湯や銀ちょう散(桔梗石膏と清上防風湯)が必要です。便が固くなり便秘して腹が張り痛むなら承気湯類、体力によりますが強いものから大承気湯、調胃承気湯、小承気湯(麻子仁丸で代用)で便を出すと熱は下ります。ただ実際は非典型例も多く、例えば熱は高く体は焼けるが汗は出ない場合は葛根湯に白虎加人参湯や桔梗石膏を加えるそうです。
今回私が麻黄湯を頻回にのんでも汗が出ず良くならなかったのは大青竜湯と違い麻黄湯が弱いのと、もっと体を温める必要があったためと思います。汗は出ないが体は焼けてなかったので陽明病でなくまだ太陽病だろうと思い風呂に入ったのは正解でした。
風邪の時風呂に入ってかまわないか尋ねられますが、体が焼けて熱い時は止めたらいいです。寒気がする時は入ったらいいです。とくにさむくてガタガタ震える(悪寒戦慄)時に風呂に入るとすごく楽になります。(6月1日)
7月になりました。今年は雨が多くうっとうしい日は続いています。
今のような蒸し暑い日は血圧が下がりやすいです。私は血圧が低めのため良く立ち眩みがします。過去4回血圧が下がって失神したことがありますが、いずれも6月でした。立ち眩みがある時は血圧を測ってみたらいいです。上が100以下なら脱水の可能性があります。水分を十分とってみてください。降圧剤を飲んでいてそれでも上がらないなら降圧剤を減らすとよいです。今が一番血圧が下がる時期です。冬は上がります。以前と比べると血圧を低めにコントロールするようになったので下がりすぎることも良くあります。上手く薬を加減することです。一般には高圧利尿剤から減らすことが多いですが、原発性アルドステロン症の方は利尿剤でも抗アルドステロン剤は減らさずそれ以外の降圧剤から減らしたらいいでしょう。わからない時はかかっている先生に相談すればいいです。
水分不足で膀胱炎になる女性の方が多くなる時期でもあります。水分を摂っていても排尿間隔が伸びてきたり尿の色が濃ゆくなってきたら脱水です。あわてて水分を摂りましょう。排尿を我慢しないことも大切です。
一番は脱水で具合が悪くなることを防ぐことです。脱水すると血栓の原因になり、脳梗塞や心筋梗塞になることがあります。よくあるのはふくらはぎ等の筋肉が痙攣します。
汗は意外に大量に出るものです。体が濡れるくらい出た汗は500-1,000mlだそうです。夏に日向で仕事をする方に伺ったら飲む水分は5lといわれた方がおいでました。このように大量に水分を摂る場合は水に少量塩を入れる必要があります。1lに1gと言われています。大体5lのやかんに1つまみ位だそうです。塩が多いと逆に口が渇きます。少量の塩が無いと体に水分が残らず、すべて尿となって出てしまいます。日本人の食塩摂取量は多いので、少量の水分の場合は塩を入れる必要はないです。スポーツドリンクは砂糖が多いので水分補給だけの目的には好ましくないでしょう。
脱水後水分を摂っても意外に十分でないこともあります。私が運動した時、運動中や帰ってきてからもしっかり水分を摂って、きちんと尿も出て大丈夫と思っても、夜体重を測ったら0.5-1kg減っていることがしばしばあります。500-1,000ml水分を失ているのです。なぜかは良くわかりませんが、私はどちらかというと塩分摂取量が少ないので、水とともに摂る塩分が足りないのか、水が筋肉に行き渡るのに時間がかかるためかなあと思っています。要注意です。
熱中症にも要注意です。いくら水分を摂っても暑いと熱中症になります。エアコンや扇風機で体を冷やしたうえで水分を十分摂りましょう。とくに扇風機だは水分を多く失うので十分水分を摂ることです。筋肉のけいれんには芍薬甘草湯が有名ですが、体が焼けてしんどい時は白虎化人参湯、水分を失ってしんどい時は五苓散、脱水後しんどいのが続く時は清暑益気湯等も有効です。(7月1日)
8月になりました。
連日猛暑が続いています。熱中症にお気をつけください。いくら水分を摂っても暑いめにあったら熱中症になります。また大量の水分を摂る時は少量の塩分を補充してください。水だけだと体から出てしまい脱水の治療になりません。また極端に大量の水だけを摂ると血液のナトリウムが下り水中毒となります。塩は1lに1gです。5lのやかんに1つまみだそうです。また冷たいものを摂りすぎて下痢をしたり食欲が落ちたりしんどくなったりする方も多いです。体の外から冷やすのはいいですが、中から冷やすのは良くないです。
先日背中を触っていて腰骨が1本飛び出ていることに気づきました。一生の中で一番骨塩が多くなる中高校生時代にあまり運動をしてなかったので骨粗しょう症が早く来て圧迫骨折は起こり始めたのか心配になりレントゲンを撮ったところビックリ。第23間の椎間板が消失して第23腰椎が癒合していました。症状は無く古い変化だとは思いましたが専門家の意見をうかがうべく、同級生の高島整形外科の高島先生に診ていただきました。椎間板ヘルニアとは違う原因で椎間板が壊れ第23腰椎が癒合したのであろう、手術でくっつけたようにずれもなくきれいに癒合して椎間孔も保たれているので症状がなければ心配ないとありがたいお言葉をいただきました(笑)。
10年位前かかと落としをして腰が痛くなったことがありました。自転車にまたがるのもつらい程の痛みでしたが100km位自転車に乗って帰ったら痛みが軽くなっていたので、それを繰り返していたらいつの間にか痛みは良くなりました。
前屈で椎間板が後ろに突出して痛む椎間板ヘルニアとは違いかかと落としは垂直に荷重がかかるため痛めた椎間板は均等に四方に広がりずれることなく第23腰椎が接したのだろうと思います。自転車に乗ると長時間背中をまっすぐな姿勢に保って腹筋と背筋を鍛えるので、鍛えた筋肉がコルセットのように骨を保持してずれずに癒合したのかなと思います。
私の亡き祖母は能の名手でよく自宅の2階で能を舞っていました。高齢になり寝たきりになるまで背中は真っすぐでしたが、背骨は脊椎カリエスのためガタガタで左右にうねっていました。しかし姿勢はずっと真っすぐでした。能を日常的に舞うことにより腹筋背筋を鍛えていた賜物です。
皆様いくつになっても体を鍛えましょう。背筋を伸ばして颯爽と大股で闊歩できる筋肉をつけると若々しく、実際に老化を防いでくれます。(8月1日)
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