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とんぼ院長の目
4月になり寒い日と暖かい日が交互で三寒四温です。
先日1回1錠つまり1日3錠服用する薬を1回3錠服用された方がおいでました。なんで間違ったのかは不明です。処方箋は以前は1日分と日数で記入するものでした。1日3錠5日間なら3錠x5日という書き方でしたが、最近1回量と飲む回数と日数つまり1錠x3回x5日と書くこともあり両方の書き方があります。その方はひょっとすると薬袋を見ずに処方内容が書かれた明細書を見て別の医療機関で以前書かれたのが1錠x3回x5日というのでそれに慣れていて勘違いされたのかもしれません。薬剤師さんにはお伝えして注意するよう話ましたが、皆様お気をつけください。
高知では季節の変わり目に調子を崩される方がおいでます。4月になって明るくなりだいぶん気候が安定してきてよくなってくる頃です。精神的に調子が悪くなってしまった際は仕事ができなくなり収入がなくなり十分治療できなくなる方がおいでます。そういう方を助けるために自立支援という制度があります。それを申請すると医療費が軽減されます。本来もっと治療を強化すべき方でこのままでいいと言われる時は経済的な問題で十分治療できないことも多いです。その際は自立支援制度のことをお話ししますが、ご希望があれば受け付けなり私なりにお伝えいただければ書類に記入します。遠慮なくお伝えください。(4月4日)
5月になりました。朝寒い日がありますが、日中はすっかり初夏のような日もあります。
4月から帯状疱疹ワクチン接種の補助がはじまりました。帯状疱疹はこの地区では「あわよ」と呼ばれるようです。粟よ(よはよくわかりません)と書くのでしょうか。
水痘帯状疱疹ウイルスにかかったあとウイルスは神経節に潜んでおり免疫が衰えた時に再活性化して特定の神経に沿って水泡をおこします。最近子供に水痘帯状疱疹ウイルスワクチンを接種しているため、水痘になる方が少なくなり、以前はそういう方からウイルスをもらって免疫のブースターになっていたのが今はその機会が減ったため帯状疱疹が増えており、高齢者に多いです。
ほっておいても治るのですが、帯状疱疹後神経痛といってしつこく強い痛みが残るため、その予防に早く治るよう治療を行います。それでも強い痛みが残ることが多いと言われているためワクチンがあるのです。不活性ワクチンの方が効果が強く、効果も長いですが、2回接種が必要で費用が高く1回7,000円の自己負担が必要です。当院は申請が遅れてしまい接種可能医療機関リストに載ってないですが接種はもちろん行っています。
命にかかわるというものではないので、接種するかどうかは個人の判断になります。というのは、私が医師になってずいぶん沢山の帯状疱疹の方を診てきましたが強い神経痛が残ってしまった方は皆無なのです。発症時よりきちんと神経痛対策をしていればすっきり治りますし、他院で治療して痛みが残った方もちょっとてこずりますが大体神経痛は収まります。軽い痺れ感は残ることはありますが。私自身帯状疱疹後神経痛でてこずったことはないのです。もちろん帯状疱疹にならないことがいいので、打ったほうがいいかと尋ねられると打ったほうがいいと答えています。
先日百日咳を思わせる咳を訴える患者さんがおいでました。百日咳に迅速検査キットが現在入手困難なためあてずっぽで百日咳に効く処方をしました。百日咳は特徴的な咳でなければそのほかの急性気管支炎、要するに咳風邪とは区別がつきません。怪しい時は百日咳に効く薬を出しますが、見逃していることもあると思います。咳は急性気管支炎、感染後咳嗽、アトピー咳嗽、咳喘息、逆流性食道炎による咳、しつこいなら結核などの感染症、間質性肺炎などの疾患など多くの疾患がありそれぞれ治療法は異なるので直りが悪い時はきちんと診断をつけることが大切です。(5月1日)
6月はうっかりこの欄を書くのを忘れてしまいました。何か忙しくかったのか記憶があいまいです。老化でしょうね。
6月に梅雨があけ暑い日が続いています。先日エアコンをかけずに寝て熱中症になった方がおいでました。この夏はどうなるのか心配です。皆様適切にエアコンを使用しましょう。熱い目にあわず、水分を十分とりましょう。大量に水分をとる場合は1gに1g程度の塩を入れる必要があります。5gに一つまみが目安です。スポーツドリンクは飲みやすくするために糖が入っているので、糖尿病の方や肥満症の方は注意してください。
いま喉が痛くてその後咳になる方が多いです。咳の風邪を急性気管支炎といいます。ほとんどはウイルス感染で、発症からすぐは抗生物質は必要ないです。高熱が続く、胸が痛い、息が苦しい、すごくしんどい等があれば肺炎の可能性もあるのでX線をとる必要があります。気管が敏感な方、気道過敏性が高いと言いますが、そういう方は咳喘息になることが多いです。
痰の多い咳、湿性咳嗽と言いますがこのような咳は止めてしまうと痰が肺にたまって苦しくなるので咳止めは控えたほうがいいです。あまりにひどければ消耗するので痰切りとともに咳止めを使います。乾いた咳、乾性咳嗽は止めても大丈夫です。小児は強い咳止めは好ましくないのて麻薬のような強い咳止めは使いません。咳が強いと気管粘膜がはがれて咳が強くなる悪循環に入ってしまいます。咳がひどくても咳喘息の場合は咳止めの効果がすくないので、気管支拡張剤や抗炎症剤が必要になります。アトピー咳嗽の場合は抗ヒスタミン剤のような抗アレルギー剤が有効です。2週間を超すような長い咳は結核やガンの否定のためX線撮影が必要です。煙草を吸う方は慢性閉塞性肺疾患のことが多いため抗コリン剤の吸入は必要になります。風邪の初期の咳には漢方薬もよく効き風邪を早く治す効果も期待できます。マイコプラズマや百日咳の初期は抗生物質が効くので検査する必要があります。咳にもいろいろあり必要な薬が違ってくるのです。どうしても咳が止まらずお困りの方は遠慮なくご相談ください。
息子の恵悟が舌下免疫療法を準備しています。今のところ杉花粉症用の薬が入手できないためチリダニなどのハウスダストしか使えませんが、1年中鼻炎がある方はご相談ください。それに合併したアトピー性皮膚炎にも有効なようです。(7月3日)
8月です。毎日暑い日が続いています。今日は36度になるとのことで今年一番の暑さになるようです。
今年は熱中症の症状を訴える方が多いです。早く暑くなってこたえているのか、熱中症が良く知られて気楽においでるのか、単に暑さがひどいのかはよくわかりません。暑い環境で頭痛、吐き気、めまいなどがあると熱中症の可能性が高いです。すぐに涼しい所に移り、少量の塩分の入った水分を十分に摂りましょう。血圧が下がり意識がなくなるほどひどい時はOS-1、そうでなければスポーツドリンクでいいです。塩分は1lに1g、5lのやかんに一つまみです。私は運動に行くとき600mlのペットボトルに耳かき1杯くらい塩を入れていきます。
それとともに漢方の水分を調整する利水剤を服用すると早くよくなるようです。私はよく五苓散を使いますが、前もって予防的に飲んでも効くようです。体がすごく焼けて暑い時は体を冷やす清熱剤を併用します。
何より暑い環境を避けて、必要な時はできるだけ短時間で済ますこと、水分を十分とることです。エアコンを適切に使いましょう。エアコンを少しかけて湿度を下げ、扇風機で風を受けるとエアコンの設定温度をそれほど下げなくてもいいので、電気代の節約になります。ただその時は体から水分を飛ばしますので多めに水分を取らないと脱水になります。職場も適切にエアコンを使わないと作業効率が落ちてしまいます。皆様ご注意ください。
今年は暑く膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症の方が多いです。水分摂取が少ないと尿量が少なくなり膀胱に長時間尿が溜まった状態になります。女性は尿道が短いため細菌が侵入しやすいです。どんどん尿をだしていれば細菌は洗い流されて増殖できませんが、尿が長時間溜まっていれば細菌が増殖して膀胱炎になり、さらに細菌が尿管を遡って腎臓まで行きそこで増殖したら腎盂腎炎になります。腎臓は血流が豊富なため細菌は血液に入り菌血症を起こし高熱となります。敗血症になると血圧が下がり重傷となります。最近はSGLT-2という糖尿病治療治療薬を糖尿病だけでなく、慢性腎臓病、心不全などにもつかいますが、尿に糖を排泄するのでその糖が細菌のエサになり尿路感染症ななりやすいです、服用中の方は十分水分をとってください。アルコールを飲むと尿が多く出て脱水になりやすいです。翌朝尿が少ない時は脱水です。また脱水になると尿酸値が上がり痛風発作を起こしやすくなります。
何より暑いと血圧が下がるので降圧剤の調整が必要になることが多いです。立ち眩みがあれば血圧を測ってみてください。
(8月2日)
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