高知県自閉症協会

NPO法人 高知県自閉症協会(日本自閉症協会高知県支部)
自閉症とは
スーパーの中で突然大声を出して走り出す子どもを見て、びっくりして眉をひそめた・・そんな経験ありませんか?
また、独り言というには大きすぎる声で、わけのわからない言葉を叫びながら歩いている人を見かけて、何だか奇妙な人なので、近づかないように避けて通った・・そんな経験がありませんか?
信号待ちの時、ウーウー唸り声を上げながら、身体を左右に揺らして足踏みしている大人・・
全然知らない人なのに、突然あなたの住所や年齢を答えるまで繰り返し聞いてくる子ども・・
そんな人たちはもしかしたら自閉症の人かもしれません。
自閉症ミニ知識@
Q 自閉症って心の病気なの?
A 違います。先天性の脳機能の障害による発達障害です。
自閉症とは生まれつき脳の機能がうまく働かないため、3才以前の早期に症状が現れ、その困難さが生涯に渡って続く発達障害です。
従って、「いじめのため自閉症になった」「昔自閉症だったけどなおった」「親の育て方が悪くて自閉症になった」「テレビの見過ぎ、ゲームのやり過ぎで自閉症になった」などというのは、全て間違いです。
自閉症の特徴
3才までに次の3つの症状が現れたとき自閉症と診断されます。

〈社会性の発達の障害〉
自閉症の人は対人関係の質的な違いがあります。
例えば
・目線を合わせようとしない。
・注意を受けて困っているのに笑ってしまう。
・同年代の子どもと遊べない。
・暗黙のルールがわからない。
・人とほとんど関われない、または積極的に関わり過ぎる。など人と上手く付き合うことができません。

〈コミュニケーションの障害〉
自閉症の人はコミュニケーションの質的な違いがあります。
例えば
・言葉が話せない、もしくは言葉の発達に遅れがある。
・言葉が話せても、意味が正確にわかっていない。また、場面にあった言葉が出てこない。
・自分の好きな言葉を繰り返す。
・話しかけられたことに合った返事ができない。
・指差し、目配せなど言葉を使わないコミュニケーションの意味がわからない。
・相手の手を使って何かをさせようとする(クレーン現象)。
などコミュニケーションが上手くとれません。

〈活動と興味の偏り〉
自閉症の人は想像力を働かせる部分に障害があるため、変わった行動をすることがあります。
例えば
・ミニカーを一列に並べたり、タイヤをくるくる回して眺めたりそのおもちゃ本来の遊び方をしない。
・常同行動(手をヒラヒラさせる、ピョンピョンはねる、ぐるぐる回るなどの行動)を繰り返す。
・同じ道を通る、同じ順序でするなど、変化を嫌う。
・教えないのに、標識や数字、アルファベットなどに興味を持ち、カレンダーや時刻表を覚えてしまう。
といった極端な「こだわり」を示します。

〈その他の特徴〜感覚の異常〉
上記3つの特徴以外にもよく見られる特徴として、感覚が鋭すぎたり、逆に鈍感だったりという、感覚の異常があります。
例えば
・味覚、嗅覚の異常は偏食となって現れることがあります。
・皮膚の感覚が敏感で、ちょっと触られただけでも痛みを感じる人もいます。
・特定の音を極端に嫌って耳ふさぎをしてパニックを起こす聴覚過敏があるかと思えば、多くの人が嫌うガラスを引っかくような音が平気だったりもします。
自閉症ミニ知識A
Q 自閉症の人ってどんな人?
A 一人一人現れる症状は違います。見た目にはわかりません。
自閉症の人も根本的な特徴に共通部分はあるものの、表に現れる状態は一人一人異なります。例えば目が合わない人もいれば、目が合う人もいます。
言葉が話せる人、話せない人、こだわりが強い人、弱い人、様々です。
また、黙って立っていれば、見た目には普通の人と同じように見え、一目見ただけでは自閉症とわかりません。
自閉症の人のライフスタイル
自閉症の人たちも、他の人たちと同じように地域の中で過ごしています。

幼児期
他の子供達と同じ保育園や幼稚園に通っています。
(加配保育士さんがつく場合が多い)

学齢期
知的な遅れがない場合は普通の小学校から中学校、高校、大学へ進学する人もいます。
知的に遅れがない場合でも、地域の学校の特別支援学級(情緒障害児学級)に在籍してそこから通常学級に通っている人もいます。
あるいは、通常学級で勉強しながら月に何回か通級指導教室に通い、特にコミュニケーションの勉強をする場合もあります。
知的な遅れを伴う場合は、地域の小学校、中学校の特別支援学級(知的障害児学級)や、特別支援学校に通っている人もいます。
通う学校の種類、進路はその人の発達状況や保護者の考え方等によってそれぞれ異なります。

成人期
日常生活面で手助けが必要な場合は施設に入所している方もいます。
グループホームで生活している人もいます。
また、地域の中で障害のない人たちと同じように、家から仕事場へ通い働きながら、必要なものを買い物したり、散歩をしたり、休みの日は余暇活動を行って過ごしている人もいます。
働く場所は、企業に障害のない人たちと同様に一般就労している人もいれば、企業の障害者雇用枠で就労している人もいます。
また、障害者のための福祉作業所や施設などで働いている人もいます。
自閉症ミニ知識B
Q 自閉症は他の障害を合併することがあるの?
A 他の障害を合併することがあります。
他の障害と合併することを重複障害といいます。合併する障害でまず多いのは知的障害です。てんかんや睡眠障害を合併することもあります。
また、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)などを合併することもあります。
二次障害として、うつ病などの精神科的症状を合併することもあります。
重複障害であっても、自閉症の障害特性に配慮した支援をすることが重要です。
地域の方々へのお願い
自閉症の人たちは、見え方、聞こえ方、感じ方が健常の人とは異なるため、人とは違った、変わった行動をしてしまいます。突然大声で叫んだり、走り出したり、飛び跳ねたり、体を揺らしたり、独り言を言ったり、ウロウロ歩き回ったり・・
これら自閉症特有の一見変わった行動は、他の人から見ると意味がないように見えますが、自閉症当事者にとっては、混乱や不安を感じて落ち着くためであるなど、そうせずにはいられない何らかの理由があるのです。しかし、決して悪気はありません。自閉症特有の行動は暖かく見守ってください。また、指差したり、笑ったりしないでください。
危険なこと、やめて欲しいことなどは、短めに簡単な言葉でやさしく伝えてください。大声で怒ったりすると混乱してしまいます。
自閉症の人を地域の一員として、暖かく接していただけるようお願いします。
保育園、学校の先生、指導員の方など支援者の方々へのお願い
自閉症の人は、言葉だけ聞いて内容を理解することが苦手です。これは言葉が話せる自閉症の人にも共通しています。言葉がけは短めに、簡単にしてください。想像力が働かないため、「○○してはいけません。」という否定的な言葉掛けだけでは、次に何をしてよいかわからず混乱します。「△△してください。」と肯定的な言葉掛けをしてあげてください。しかし声掛けばかりをたくさん行うと逆に混乱してしまい、聴覚過敏がある場合などは声掛けを苦痛に感じてパニックになる人もいます。混乱がひどい時には、言葉を掛けない、また言葉掛けをやめる、ということも有効です。
反対に自閉症の人は目で見たことを理解することは得意なので、何かを確実に伝えたい時には、実物を見せる、写真を見せる、絵や文字で書いて見せるなどの方法を使ってください。伝わっているという思い込みを捨てて、本当に伝わっているのか確かめながら、本人が理解しやすい方法を用いてあげてください。
また、言葉が話せる人でも話せない人でも自閉症の人は周囲に自分の気持ちを伝えることが苦手です。自分の気持ちが伝わらなくて、混乱しパニックを起こすこともあります。自閉症の人の気持ちを無視せず、本人が伝えたがっていることを周りの人が理解してあげてください。本人から要求語などが出ない場合は自閉症の人の気持ちを伝えるための写真カードや絵カードを用意することも有効です。
自閉症の人は想像力の障害があることから、予定がわからないことや見通しが立たないことに大変苦痛を感じます。予定は前もって伝えてあげてください。例えば、カレンダーを使って何日には何がありますということを知らせたり、一日の流れをスケジュールにして、視覚的にわかるようにしたりすると、とても安心して過ごせます。予定に変更がある時は、直前ではなく、できるだけ早めに本人にわかる方法で視覚的に伝えてあげてください。
また、自閉症の人は外部の刺激に気が散りやすく、集中して仕事や勉強ができない人がいます。刺激を少なくして集中できる環境を作ってあげてください。例えば窓や棚にカーテンをつける、黒板のまわりや壁の余分な掲示物をはずす、机の方向を変える、ついたてで囲う、音が気になる人には耳栓やヘッドホンで遮断するなど、色々工夫してみてください。
自閉症の人を健常の人に近づけるよう刺激を我慢させる、言葉だけで理解させるというのではなく、自閉症の人がわかりやすく、安心して、自ら動くことができる環境を作っていただけるようお願いします。
子どもが自閉症と診断された保護者の方へ
ご自分の愛するお子さんが突然「自閉症」と診断される。その時の衝撃は当事者でなければわからない大変なものだと思います。できるなら、認めたくないという気持ちもわかります。と同時に、何をどうやって子育てしたらよいのかわからなくて途方に暮れている方もいらっしゃることでしょう。子どもが自閉症と診断されたショックも覚めやらないうちに、日々直面する子どもの訳のわからない行動に悩まされて、保育園はどうしよう、果たして学校はどうなるのだろう、ちゃんと働けるだろうか、私達親が死んでしまった後はこの子はどうなるのだろう、と次々疑問が湧いてくることでしょう。
高知県自閉症協会には、同じ悩みを抱えた方、同じ経験をされた方、いろんな悩みを乗り越えてこられた方がたくさんいます。当事者同士で話をすると気持ちが楽になることもあります。子育てで困っていることも、同じ経験をしたもの同士話が通じ合います。まず、保護者の方が誰かと悩みを話し合って、元気になりましょう。
そして、元気になってからでいいですから、子どもさんと向き合ってあげてください。子どもさんの困ったと思われる行動は、実は子どもさん自身が困っているというサインなのです。子ども達は自分自身では自分の気持ちを周囲に伝えることができません。親御さんを含めご家族の方々は、子どもさんの一番の理解者です。子どもさんの気持ちを周囲の方たちに通訳してあげていただけるよう、お願いします。
お問い合せ先
● 専門的な相談機関には高知県立療育福祉センター内に、
  高知県発達障害者支援センターがあります。
  連絡先   : 高知県 地域福祉部 療育福祉センター 
           高知県発達障害者支援センター きらっと
             高知市若草町10番−5号 高知県立療育福祉センター内
             TEL 088−844−1247(発達障害者支援センター直通)
  利用方法 : まずはお電話でご相談下さい。

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